トラウマを克服するには、その場にもう一度立つこと ― 登壇のすすめ

「トラウマを克服するには、その場面にまた自らの身を置くこと」
この言葉には強い納得感があります。逃げ続ければ、一生逃げ続けるしかない。けれども勇気をもって再びその場に立てば、克服への道が開ける。私にとって、その「場」は 登壇 でした。

初めての失敗と長い逃避

大学生の頃、ひょんなきっかけで数百人の前で話す機会を得ました。多少の準備はしていたものの、いざステージに立った瞬間、頭が真っ白になりパニックに。声は震え、言葉は途切れ、失敗を痛感しながらその場を終えました。
以来、人前に立つことが怖くなり、人前での簡単な挨拶すら避け続けてきました。

転機は社会人15年目

そんな自分が大きく変わるきっかけは、社会人として15年ほど経った2018年。某大手外資ITベンダーのイベントで登壇の打診を受けたときです。逃げたい気持ちは強かったですが、「ここで挑戦しなければ変われない」と覚悟を決めました。
徹底した準備と練習、そしてスライド作りへの自信が背中を押してくれました。結果、大きな失敗はせず、そこから少しずつ登壇の回数を増やせるようになりました。

コロナ禍とオンライン登壇の助走

2020年からのコロナ禍で、登壇の場はオンラインに移りました。
ウェビナーは相手の反応が見えず難しい場面もありました。その分、緊張しないという利点がありまsた。資料とトークスクリプトを用意し、読みながら伝えるスタイルで数をこなすうちに、自分のペースをつかめるようになりました。
オンライン登壇は、私にとって「緊張を和らげる助走」になったのです。

再び舞台へ、そして次のチャレンジ

その後オンサイトのイベントが戻ってきました。光栄なことに、国内だけでなく海外も含め、オンサイトもオンラインも毎年数回登壇の機会をいただいています。緊張は今でもしますが、しっかり準備すれば大きな失敗はしなくなり、緊張の度合いは下がってきたように思います。
今の課題は、ただ情報を伝えるだけでなく、相手の記憶に残るストーリーを設計することと、タイトルと概要と、本編のギャップをなくし参加者の期待を裏切らない内容にすることです。過去には、先に決まったタイトルから内容が離れてしまい、手応えを感じられなかった経験もあります。そのため先行してタイトルを決める場合も、瞬時にメインのストーリーを想像し、適切なタイトルを決められる力も磨いていきたいと思っています。

登壇がくれるもの

登壇は、自分の情報やスキルを整理し直す機会です。準備の過程で、自分自身の理解が深まり、アウトプットとしての質が磨かれます。そして、聴衆が何を期待しているかを考え、限られた時間でどう伝えるかを試行錯誤する中で、自然と成長が積み重なっていきます。


「トラウマを克服するには、その場にまた立つこと」――私は登壇を通じてそれを実感しました。そしてこれからも、苦手なことにこそ逃げずに挑戦し続けたいと思っています。

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